No.6170 日清食品 日清ラ王 復刻版しょうゆ

No.6170は日清食品、日清ラ王 復刻版しょうゆ。ラ王という名は1992年9月に登場し、生タイプLL麺(Long Life、酢酸などでpH値を下げて密封・加熱殺菌した麺)によるラーメンで唯一成功して長期間販売された製品である。その後2010年8月にノンフライ麺に変更された。

生タイプLL麺は1989年11月に島田屋本店(現シマダヤ)が「真打ちうどん」を発売したのが始まり(それ以前にも似たものは寿がきや等であった)。この方式はうどんや蕎麦の麺には好適であり現在でもよく見かけることができるが、アルカリ性のかん水を使う中華麺とは相性が悪いようで、各社がいろんな製品を投入するも、なかなか決定版といえるものが無かった。

今回の品は1992年版ラ王の復刻版・・・え?なにこれノンフライの乾燥麺じゃん!そんなんありかよ?

ラ王が出た1992年当時はまだ個人がインターネットに接続してホームページを作るなんて環境は存在せず、私もこの頃は食べた即席麺の記録を逐一録るような習慣は無く、手元には初期ラ王のカップのフタもデータも残っていない。だけど初めてラ王を食べた時のことはよーく憶えている。

この頃は専ら会社の定時が終わってから残業時間までの休み時間にカップ麺を食べていたのだが、生タイプLL麺は一旦湯切りした後に再度お湯を注ぐのが面倒だし、特にラーメンの場合それまでの製品は麺が不出来で積極的に食べる気にはならなかったもの。

なんせラーメンといっても食感は出来の悪い蒸した蕎麦かうどんみたいでコシもなく、ラーメンらしい香りも全然無く、酢酸が抜けきらずに妙に酸っぱさが残るのさえあった。それがこのラ王の出現によってようやくまともに食べられる生タイプLL麺が出来たと感激したものだ。職場でこんなふっくらした麺のラーメンを食べられるなんて!

・・・これを書いていてふと思い出したけど、ラ王とほぼ同時期の1990年代前半に、岐阜にある道三めん本舗という会社の生タイプLL麺ラーメン「すごいやつ」という製品が急激に知名度を上げてきた。麺の技術的にはラ王以前のもので味も特筆することは無いものだが、テレビのコマーシャルにあの今は亡きハマコー先生を起用して大ヒット、関東圏でも頻繁に見掛けるまでになった。しかし勢いが無くなるのも速く、21世紀に入り私が知らない間に道三めん本舗は倒産していたのである・・・

食べてみて、すごく驚いた。今回の製品はノンフライの乾燥麺であり、発売当初の生タイプLL麺とは本質的に大きな隔たりがある筈なのだが、麺の太さ以外はかなりオリジナルに似せている。舌触りに噛み応え、柔らかさや麺の香り等々。良い悪いとか美味い不味いではなく、当時の麺の再現性という意味ではかなりいい仕事をしていると感じた。

もちろんスープや具も然り。濁り感があり醤油濃度が薄い鶏がらスープは目隠しして飲んでも初期ラ王のものに酷似していると判るだろうし、短いモヤシやチップ状の肉もこんな風情だった。

今回の製品について、食べるまでは日清食品の中で何故こんな企画が通ったのか全然理解が出来なかった。しかし食べてみて、これは今やノンフライの乾燥麺でも生タイプLL麺の食感や香りまで再現出来るゾ!という日清食品の技術的アドバルーンであり、かつ当時のことを知る四十歳以上の人へ向けての示威行為であることを確信した。

まあこれが商業的に意義があることかどうかはちょっと疑問であるのと、1992年の味は約25年後の現在ではあまり受けないだろうなとも思ったな。

国名 日本
ジャンル カップラーメン
EANコード 4 902105 244203
会社名 日清食品
製品名 日清ラ王 復刻版しょうゆ
謳い文句 爆発的ヒットした初代の味 1992年復刻版 25th Anniversary
調理方法 熱湯5分
質量 Net94/麺65g
熱量 296kcal (1239kJ)
Na(麺具+汁) 〜g(食塩相当量2.2+3.8g)
付属品 液体スープ、粉末スープ、かやく(味付豚肉・モヤシ・コーン・ねぎ・わかめ)
ノンフライ麺
汁なし麺 ×
細めの扁平断面、輪郭は明確、しなやかでコシがある、生タイプの初代ラ王に似ている
汁・ソース 濁り感があり醤油濃度は薄め、豚と鶏ガラだし、白胡椒の刺激、やはり初代ラ王に酷似
具・その他 チップ状の豚肉ともやしが特徴的、乾麺でよくぞこんなに初代ラ王に似せたと感心する
総合評価 ★★☆2.5
試食日 2018/02/07
賞味期限 2018/06/19
入手方法 2018/01/25 イトーヨーカ堂
税込購入価格 178 JPY