Apr. 2018 Thailand(Bangkok)即席麺探索記(二回目)

先日タイのバンコックへ飛び、即席麺65個(袋麺36個、カップ麺29個)を購入してきた。バンコックは2011年1月に行って以来7年ぶり。私にとっては2015年7月のシンガポールから3年ぶりの海外調達遠征になるので即席麺に対する嗅覚が鈍っていないか心配だったけど、それは杞憂であって期待以上の収穫を得ることが出来た。スーツケース容量の制約が無かったらもっとたくさん買い込みたかったよ。


タイの即席麺市場における四天王ブランドは
MAMA(มาม่า、Thai President Foods)
YumYum(ยำยำ、Ajinomoto / Wan Thai Foods
WaiWai(ไวไว、Thai Preserved Food Factory)
Nissin (นิสชิน、Nissin Foods Thailand)
であり、その中でもMAMAが頭一つ抜きん出ている感じ。日本の日清食品のような位置付けで、市場シェアの4~5割程度は持っていそうだ。定期的に新製品を投入しつつも人気の無さそうな製品はサッと引っ込める。日本の中華三昧的な高級路線やノンフライ麺による健康志向製品などの新規分野開拓も怠りない。企業としての活きが良い感じ。

▲左からMAMA、YumYum、WaiWai、Nissin

YumYumは日本の味の素が主導してWan Thai Foodsが製造を受け持つもので、主にカップ麺の分野で新製品を出していて元気がある。一方でWaiWaiは最近新製品があまり出ておらず、売り場を見ていても過去の遺産でやり繰りしているみたいで覇気がない印象を持った。7年前は結構キレがあると感じていたのに。

タイのNissinは7年前に見た時はあまりパッとしていなかったのだが、今回は全面的に製品群が刷新されて大幅に存在感が増していることに驚いた。コンビニでもスーパーでも一定の居場所をきちんと確保している。

▲タイの日清、出前一丁坊やがいる

その他のブランドは
・Little Cook (Namchow、高級カップ麺主体)
・FF (Fashion food、樹脂製お椀型カップが特徴)
・iMee / iDles (The Decent Noodles Factory、日本でも業務スーパーでよく見る)
・Prantalay(高級志向、セブンイレブンで見る)
・Kaset(Thai-Ha Public、春雨専門、女性のイラストが特徴)
・4-me (Goonk Ging、ビーフン専門)
等がある。

海外輸入品では韓国勢が強い。中でも
・Samyang(三養食品 삼양식품)が大躍進!どこへ行っても見掛けることが出来た。何といっても激辛のプルダック炒め麺(불닭볶음면)が大ヒット中で、コンビニでもスーパーでも大きなスペースを取って陳列されている(主に袋麺)。味のバリエーションも多く、一個50THB(170円程度、一般的なタイ製の袋麺は6THB)もするのにバンバン売れている様子。その反面、同じ韓国でも割を喰った感じなのが
・Nong Shim(農心 농심)であり、お馴染みの辛ラーメンもプルダックにかなり市場を侵食されてしまった様子。ちなみに生産地は韓国であり、中国の広東農心食品製ではない。韓国製品は
・Paldo(旧韓国ヤクルト)も含め揃ってチーズ味の即席麺をプッシュしていた。

他は香港版出前一丁(香港日清食品)、インドネシアのIndomie(Indofood)、フィリピンのLucky Me!(Monde Nissin、日本の日清食品とは無関係)、シンガポールのKOKA(Tat Hui Foods)、中国の康師傅・統一・今麦郎、台湾の統一あたりを見掛けた。

日本製の即席麺は伊勢丹や富士スーパーなど日系企業の店舗には置かれていたが、タイの一般的な店では皆無である。まあ日系の店では普段単品では手に入らないような日本の即席麺を入手できたりするのでありがたい。


入国した際のレートは1円=0.290THB(タイバーツ)。1THB≒3.45円だね。スワンナプーム空港の両替所は店舗によってレートが全然違うので事前の情報収取が重要。(入国ゲートの階はダメ、0.260THB / JPYなんてところもあった、地下へ降りるべき)

バンコクは街中のあちこちにスーパーやコンビニがあるので(パック製品で良ければ)即席麺の調達には不自由しない。日本のジャスコやイトーヨーカ堂などに相当する存在としてBig-C、Tops、Tesco / Lotusなどの店舗がある。コンビニはセブンイレブンがあちこちに散在し、稀にファミリーマートがある。

即席麺の相場はタイ製の庶民的製品だと袋麺が6THB、カップ麺が15THB程度。タイで面白いのはスーパーでもコンビニでも店舗による売値の差が殆ど無いこと。なので欲しいものを見つけたら即買いしてOK。

▲袋麺は10個パックとか5個パックとか

スーパーへ行くと、7年前以上に袋麺のパック販売が徹底されていて愕然とした。おまけにカップ麺の3個パックという形態も推進されており、単品で欲しい製品を自由に購入することは結構難しい。

▲カップ麺も3個パック。奥は袋麺の箱売り

期待に胸を膨らませてタイへやって来たというのに、最初に入ったスーパーでこの現実を突きつけられ途方に暮れてしまった。「どうしよう・・・」

まあそうはいっても地道に歩き続ければ少しづつ収穫はあり、またさすがにコンビニは単品販売が基本なので、歩いて歩いて歩きまくって結局65個を収穫した。

▲スーツケース満杯、これにて収集完了

ちなみに現在タイで販売される即席麺にはドラム缶四本が並んだような表示が必ずある。輸入品はシールを貼って応急の対応をしているし、どうやら最近義務化されたらしい。

▲タイ市場での即席麺必須表示事項

左端はエネルギー、右端はナトリウム量らしいが中二つが判らない。蛋白質と脂質かな?とにかくこの表示を見掛けたら、その製品はタイ市場に向けて作られたものと考えていいだろう。


即席麺収集がひと段落したら、こんどは普段の飯をいろいろ食べまわる。今回は遂にイエンタフォ(Yentafo เย็นตาโฟ、豆腐を紅麹で発酵させたもの)味の麺料理を食べることができた。濃いピンク色のスープが特徴的で、即席麺ではさんざん食べていたのだが生のものを食べるのは初めてだよ。甘塩っぱい味で発酵臭は殆どしない。

▲左は米粉の幅広麺、右は玉子麺のイエンタフォ

それ以外の食事もなるべく屋台みたいな庶民的なところで摂る。こういうところは大抵量は少ないけれど大体40THB(140円)ぐらいで食べられる。首都バンコックでこうなのだから、地方へ行けばもっと安いんだろうな。

▲言葉が通じないから番号で注文できる店を選ぶ


いつものことなのだが即席麺探索の他に、家電売り場を積極的に覗くようにしている。7年前と比べると主役の座がいろいろ変わっていたりして面白い。例えばスマホだと7年前ならiPhoneが先行してSamsungやLGが急成長し始める頃だと思うが、現在韓国の二社は見る影も無く、断然勢いがあるのは中国のOppoとVivoだった。HuaweiやXiaomiですらもうピークを過ぎたという感じ。

薄型TVは高級品の分野でまだ韓国勢が優位だがSonyなど日本勢が復活している様子で、普及価格帯だとHisenseやTCLなど中国勢の他、AltronAconaticといった地元タイの企業がそれなりに成長しているではないか!これらの製品が日本に入ってくることは今後もまず無いと思うが、水面下でいろんなパワーバランスが流動化していることを感じるな。

▲タイ製薄型TVの梱包箱、太いTの字印がタイ製の証

調理家電の分野でも、タイのOttoなどが日本に無いような形態の機器を作っていて、眺めているだけでも面白い。

▲謎家電。頭部より熱風が出て加熱調理をするらしい

日本企業は相変わらずJapan TechnologyだのQualityだのとのたまって自画自賛しているのだが、地元企業の力が伸長している中でこのような上から目線のキャッチコピーをしつこく振りかざすのはかえって反感を買ってしまうのではと少々危惧する。

▲Japan TechnologyだとかQualityとか


街を歩いていても、日本には無いような車やバイクを見ているだけで全然飽きないよ。トゥクトゥクは以前よりも減った印象。タイ製のHiluxはめちゃくちゃ多いなあ、まさに国民車だ。一番びっくりしたのは日産の(日本で言うところの)旧ADバンにピックアップタイプが存在し、さらに荷台にキャノピーが付いたのも走っていたこと。大昔にB110型サニーのピックアップ、俗称サニトラがもてはやされた時期があったが、海外では後継機種が作られていたんだねー。

▲FFのサニトラ+キャノピー

タイ国鉄の起点、ファランポーン駅に寄ったらE&O(Eastern and Orient)特急が停まっていた。シンガポールまで3~4日かけてゆく豪華観光列車で月に二本程度しか運行せず、偶然その出発日にかち合ったもの。いつかはこんなのに乗りたいな~、とは思うけど費用は最低でも40万ぐらいはかかるし、ドレスコードがあるので食事は正装して臨まなけりゃならないとか、やっぱ違う世界の乗り物みたいだね。

▲Belmond E&O Express


という訳で、これから徐々にタイでの収穫品の試食記を上げてゆきます。即席麺の在庫が120個ぐらいに急増して、賞味期限を考慮しながら試食スケジュールを組むのがなかなか難しい・・・でも今年は最低あと一回は海外遠征に行きたいなあ。


過去の海外即席麺探索記

Jul. 2015 Singapore 即席麺探索記

Nov. 2014 Taiwan (Taipei) 即席麺探索記(二回目)

Sep. 2014 Indonesia (Bari) 即席麺探索記

Jul. 2013 Philippines (Manila/Makati) 即席麺探索記

Jul. 2012 Malaysia (Kuala Lumpur) 即席麺探索記

Apr. 2012 Vietnam (Ho Chi Minh City) 即席麺探索記

Oct. 2011 China (Tianjin) 即席麺探索記

Jan. 2011 Thailand (Bangkok) 即席麺探索記(一回目)

Jan. 2010 Hong Kong 即席麺探索記

Mar. 2006 Taiwan (Taipei) 即席麺探索記(一回目)