No.6289 明星食品 中華三昧 広東風醬油拉麺

No.6289は明星食品、中華三昧 広東風醬油拉麺。1981年10月にこの中華三昧が登場し、それまでの即席麺に対して少々高額であったけれども、その価格差以上の満足感を得られる内容に日本全国の即席麺ファンが湧き立ったものだった。

もちろん私もその例外ではない。大学生の時分、ボロ下宿の四畳半がまるで中華料理店に様変わりしたような多幸感は鮮烈な経験であり、そしてそれまで私が漠然と抱えていた即席麺に対する興味、愛情、執着といった感情的なものをハッキリと認識できるようになったのである。現在即席麺に関する文章を書いたりしている私にとって、中華三昧の登場は間違いなく人生の大きな節目となる「大事件」であった。

ちなみに先日8月25日は1958年にチキンラーメンが発売された日を祝う「即席ラーメン記念日」ということになっている。もちろんその歴史的な意味は大きいと思っているが、個人的には中華三昧に比べるとチキンラーメンへの想いはあまり強くない、というのも結構な歳になるまで接する機会が無かったのだ。

1960年代ぐらいまでは各社とも生産拠点が少なく()、鉄道や道路の物流網も今ほどには整備されていなかったため、即席麺はある程度地域に根ざした製品という性質を持っていた。幼少期を北海道と関東圏で過ごした私にとっての即席麺は、東日本に強い明星食品・東洋水産・サンヨー食品が主体であり、関西が発祥のエースコックと日清食品はあまり印象に残っていない。

日清食品は関東圏で横浜工場を1964年、関東工場(茨城、当初はカップヌードル専門工場)を1971年に竣工

なので日清食品に関する私の記憶は出前一丁(1968年発売)、生中華(1969年)、日清ラーメン家族(1970年、♪太くて長~いよ)辺りからで、初めてチキンラーメンを食べたのは更にカップヌードルが出た(1971年)後となる。この頃はもう他の即席麺の品質がだいぶ良くなっていたので、チキンラーメンを食べても味に感銘を受けることは無かった、というよりむしろ単調で貧弱に感じられた。

話を中華三昧に戻すと、発売後すぐに楊婦人・華味餐庁・麺皇・桃李居というフォロワーが続出するものの皆僅か1~2年で撤退。結局パイオニアだけが生き残った。もう37年経つのか~、凄いなあ。

でも、発売当初のプレミアム感がずっと維持されていたかというと、ちょっと怪しい時期もあった。普及価格帯製品のレベルが上がったことによる相対的なものと、中華三昧自体が「これ、コストダウンしやがったな?」と思われるような絶対的な価値低下、双方によるものだと思う。なのでi-ramen.netの試食評価(購入価格を考慮しない絶対評価)でもこんな筈じゃあなかったのに、と心の中で泣きながら(ウソ)評価点2とか2.5を付けることもあった。

だから最近は中華三昧の試食に臨む際「かつてはあれだけ熱狂した銘柄なのに、最新の製品を食べて落胆するのが怖い・・・」という、まるで若い頃の自分を否定されるような複雑な心境になってしまうのだ。

今回食べてみて、心配は杞憂に済み、一応の満足感を得られた。品質感が突出しているという訳ではなく、麺とスープによるバランスの勝利という感じ。

昔が良かったという訳ではないが、麺は発売当初の薄くてヒラヒラした感じから結構変わり、ふくよかになっているね。でも、この変化の方向性が最近の普及価格帯高品質製品である正麺やラ王に近付いているようにも感じられ、存在価値をかえって希薄にさせているようにも思ってしまう。

やっぱ中華三昧は孤高で別格の存在であって、特売五個パックが二百円台で売られるような製品とはビシッと一線を画して欲しいのだ。発売当初の匂いを少しでも残してくれれば多少の変化は受け容れる。私の目が黒いうちは中華三昧生産終了なんて報は聞きたくないので、いろいろやり繰りししながら生き延びて欲しいなあ。

国名 日本
ジャンル 袋ラーメン
EANコード 4 902881 053730
会社名 明星食品
製品名 中華三昧 広東風醬油拉麺
謳い文句 XO醤とオイスターソースの旨み
調理方法 ゆで4分
質量 Net105/麺80g
熱量 367kcal (1537kJ)
Na(麺具+汁) 0.6+1.8g(食塩相当量1.5+4.6g)
付属品 液体スープ、粉末スープ
ノンフライ麺
汁なし麺 ×
扁平断面で、中華三昧が出た当初よりは随分ふくよかになったもののやや華奢な印象
汁・ソース オイスターソースが効果的で中華料理っぽく、ちょっとリッチな気分になれる醤油味
具・その他 麺とスープのバランスが良い、でもラ王や正麺より高い価格を正当化する程ではない
総合評価 ★★★3
試食日 2018/08/11
賞味期限 2018/09/05
入手方法 2018/03/24 相鉄ローゼン
税込購入価格 139 JPY