No.6501 日清食品 (Hong Kong) 出前一丁 香辣麻油味

No.6501は香港の日清食品、出前一丁 ①香辣麻油味。英文表記はDemae Iccho Spicy Sesame Oil flavour。香港版出前一丁はたくさんのバリエーションがあるのだが、基本となるのが經典系列(Classic Series)の②麻油味であり、今回の品はパッケージが似ているが全辛滋味系列(Spicy Series)に属する①香辣麻油味だ。そして③日本の出前一丁も似たような図柄であり、いきなりこの三品を出されて瞬別できる人は少ないだろう。

左上:①香港版香辣麻油味(今回)
右上:②香港版麻油味
中下:③日本版出前一丁(比較対象)
左下:シンガポール版Sesame
右下:ドイツ版Sesam

ちなにみシンガポール版出前一丁(Chu Qian Yi Ding)とドイツ版出前一丁(Demae Ramen)は白抜きの湯気が小さい。あと日本版だけ「出前一丁」の書体が違う。

今回の①香港版出前一丁香辣麻油味はチリパウダーを加えたスープとごま油(実際は少し辛い)の組合せ、②香港版ただの麻油味はごま油付き、③日本の出前一丁はごまラー油付きとそれぞれの内容も微妙に違っている。

今回の試食は③日本版の出前一丁との同時比較という形態を採ることにした。(さすがに②香港版ただの麻油味を含めた三食同時試食は見世物としては面白いだろうが味の評価には無理があると考え、後日改めて②香港版ただの麻油味③日本版の同時比較を行う計画)

開封すると、まず①香港版出前一丁香辣麻油味(上)と③日本の出前一丁(下)とでは麺の色が違うのに驚いた。ナチュラルというかやや灰色がかった①香港版に対して③日本版は明るい色で黄色みを帯びた、小綺麗だけれども如何にも作られたような色をしている。これは③日本版の原材料名にだけ記載がある「カロチノイド色素」の効能もあるのかもしれない。

食べてみて、朴訥な①香港版に対して隅々までを造り込んであり少々お節介にも感じる③日本版という印象。①香港版はそこそこ辛いがその殆どはスープ自体の辛さであり、調味油の辛さはあまり効いていない。また辛さにごま油の香りが負けている。③日本版は辛さの絶対量は全然大したことはないが、調味油の唐辛子とごまの香りが上手く連携しており効果的である。

麺が細めの丸断面で縮れが強いところは両者でよく似ているけれども、口にした瞬間に違いが判る。①香港版は表面の摩擦係数が高いというか唇を通過する際にザラザラした抵抗感があるのに対し、③日本版は平滑で「ツルンっ!」という感じで吸い込まれ、この食感の差は結構大きい。しかしその他の部分はどちらも大差無く、基本的にあまり存在を主張しない麺である。コシだの弾力だの歯応えだのを云々するものではない。まあ気泡感は無いし国際水準以上の麺である。小麦の香りはあまり華やかではない。あと麺が細いため経時変化には弱いかな。

スープは①香港版は生唐辛子をすり潰したようなちょっと酸味を伴う辛さがある。激辛という程ではないが、辛さスペシャルの製品であらんとする覚悟が感じられる。相対的に醤油成分やポークのうま味はやや奥に引っ込んだというかちょっと薄い印象。とはいえやや濁り感がある醤油味という意味では③日本版と基本的な骨格が違う訳ではない。③日本版に感じるのは良くも悪くも味の包まれ感であり、安心な一方でもどかしい。エアバッグが百個ぐらい付いた車に乗っているようで、もう少しシンプルかつストレートな味表現が欲しいなとも感じる。あと日本版には白ごまの粒々が入っているのが効果的。

香港の出前一丁は現在袋の揚げ麺だけでも十六種類があり、それぞれがセグメントを狭く絞り込んだ製品展開が出来るのに対し、日本の茹でて作る出前一丁は基本一種類しかないのでどうしても最大公約数的な造りにならざるを得ない。なので製品開発の出発点が全然違うのだろうと思う。今回比較試食を行ってもその通りの印象であり、①香港版香辣麻油味を好む人は結構限られてしまうように感じたのだが、それは香港日清の目論見通りであり、辛くて薄い味を好まない人は他の十五種類の中から選んでね、という言い訳が成立する。

うーん、文字数ばかりが増え話がまとまらなくなっちゃったな。近日②香港版の出前一丁で一番ベーシックな麻油味③日本版の出前一丁との比較試食を行って、改めて香港の出前一丁について解いてゆく予定。

国名 香港
ジャンル 袋ラーメン
EANコード 4 897878 000098
会社名 日清食品(香港)
製品名 出前一丁 香辣麻油味
謳い文句 即食湯麺 香港製造 Spicy Sesame Oil Flavour
調理方法 ゆで3分
質量 Net100g
熱量 468kcal (1960kJ)
Na 2.23g
付属品 粉末スープ、調味油
ノンフライ麺 ×
汁なし麺 ×
細めで縮れは強い、気泡感は無いがコシや歯応えは普通、日本版より表面がザラつく
汁・ソース 生唐辛子をすり潰したような酸味と辛さ、激辛ではない、醤油っぽさやうま味は薄め
具・その他 辛さの影に隠れ調味油があまり効いていない、尖った性格で購入者を絞り込んでいる
総合評価 ★★☆2.5
試食日 2019/09/12
賞味期限 2019/09/05
入手方法 2019/07/18 Brisbane(Australia)
税込購入価格 0.99 AUD (≒75 JPY)