No.6579 Sanyo Foods (USA) Sapporo Ichiban Shio Ramen

No.6579は米国のSanyo Foods of America、Sapporo Ichiban Shio Ramen。ご存じサッポロ一番塩らーめんの米国生産版。いくつかの語句が英語化されただけで、基本的なパッケージデザインは同一である。調理例写真も全く同じものを使っているよ。

▲日本版は「塩らーめん」文字に影が付いている

米国市場においてSanyo Foods of Americaは先行するMaruchan、Nissin Foods、Nongshim(農心)の三強にはかなり差をつけられている感じで、今回のサッポロ一番米国版塩らーめんもそうそうどこにでも売られている製品ではない。買うならばアジア系・日系のショップを捜しまわる必要がある。

面白いのは裏面の作り方説明の挿し絵までも、日米で同じものを使いまわしていること。普通裏面のレイアウトは各国の法規制に合致させる必要があり、製造場所の裁量である程度自由に作るものだと思っていたが、サッポロ一番は極力日本の仕様と合わせるようにしているんだ・・・

と思ったら、米国版は裏面下に小さく「Printed in Japan」の記載があるではないか。日本で印刷したフィルムを送っているのか。道理で色合いまできちんと揃っている訳だ。米国のMaruchanやNissin Foodsの即席麺は現地スタッフにかなりの判断を委ね、米国人が考えて造り上げたように感じられるのに対し、Sanyo Foodsの場合は日本との関連が密なんだな(競合よりも規模が小さいからなせる業なのかもしれないが)。なお日本版は光を遮蔽するアルミ蒸着フィルムなのに対し米国版は光を通過する昔ながらの素材を使う。

日本版と同時に比較しながら食べてみて、味の傾向はよく似ているものの、米国版は僅かに麺の粗っぽさとか香りの安っぽさを感じた。どちらが良いかと問われれば日本版と答えるが、総合評価は共に★2.5点として、差をつける程の違いではないと判断した。

麺は中太の角断面で、ボリューム感は日本版と同等。しかし、表面がザラザラと荒れていて舌先との摩擦係数が大きく、ツルツルして滑らかな日本版とは触感が異なる。凹凸があるからスープの絡みが良いという訳でもなく、違和感だけがある。やや柔らかめで噛み応えはコシが弱くモッサリして単調(決して貶しているわけではない)という部分は共通する。香りは米国版にやや乾燥臭さとか穀物っぽさ(あまり良い意味ではない)が感じられた。この点について日本版は問題なし。小麦粉の種類や精製の度合いが違うのかな。

作る前の麺の色もかなり異なる。米国版は自然色というか淡い小麦色なのに対して明るいクリーム色の日本版。先日紹介した明星食品の北米輸出版中華三昧(No.6486, 6568)や日清の香港生産版出前一丁(No.6501)でも日本国内版とは麺の色が違っており、みな明らかに日本版の方が綺麗で美味しそうに見える。日本は見た目に対する顧客の眼が厳しいだけでなく、麺の着色に関しての規制が甘いのかもしれない?もっとも、作ってしまえば麺の色なんて殆ど意識しなくなるんだけどね。

スープもやはり色が違う。粉末の状態でもお湯に溶いてからでも緑色っぽい米国版に対して日本版は黄色がかっている。どちらも濁り感があってクリアな喉越しではない。味の骨格部分はほぼ同じように感じられるが、末節の香りがやや異なる。どちらもうま味や塩分が結構強く、味の薄い野菜をたくさん入れることを暗黙の前提としているように思われる。醤油成分は殆ど無く、尖った刺激的な部分も無くまろやか。古風だけれども安心の味。

米国版にはちょっとハーブのような、乾いた葉っぱのような匂いが感じられて「あれ?」っと思った。いい/悪いというよりも、いつもとは違う感覚がある。最初から米国版を食べて育った人ならばきっとこちらの方が正義であろう。ところで、サッポロ一番塩らーめんって昔はもっと明確にカレー(ターメリック)のような香りがしたと思っていたが、今回日本版も米国版もあまり意識させるほどではなかった。レシピが変わったのかな?(塩らーめんは発売以来味を全く変えていない、という話を少し前に聞いたのだが)

切り胡麻の小袋は日本版が透明で米国版は不透明という違いがあるが、米国版もよく見るとMade in Japanの表示がある(粉末スープの小袋には原産国表記は無い一方、Sanyo Foods of Americaと書かれている)。実際に食べてみても見た目や味香りに違いはなさそうだ。流通時の環境条件が厳しいことによる胡麻の酸化を防ぐため、米国版の切り胡麻は日本版と異なる包装材料を使ったものと推測する。

米国版と日本版、全く同じ味という訳ではなかったが、だいたい同じと言ってもいいだろう。米国で生きている日本人がたまに望郷の念にかられて米国版を食べる、というのがこの製品に期待される最大の役割なのだ。だから日系のスーパーでしか売られていないというのは当然のことである。

ところで、明けましておめでとうございます。元旦に試食記の更新をしたところで、見てくれる人がいるのかちょっと心配・・・

国名 米国
ジャンル 袋ラーメン
EANコード 0 76186 00008 0 (UPC)
会社名 Sanyo Foods of America
製品名 Sapporo Ichiban Shio Ramen
謳い文句
調理方法 ゆで3分
質量 Net102g
熱量 480kcal (2010kJ)
Na 2.09g
付属品 粉末スープ、切り胡麻
ノンフライ麺 ×
湯切り 不要
中太の角断面、日本版と歯応え等は似ているが表面がザラザラして色が濃いのが違う
汁・ソース 日本版より緑色が強い、味の骨格は日本版とほぼ同じだがハーブのような香りがある
具・その他 切り胡麻は日本製で味や香りも同等、日本版の方が洗練されているが大きな差は無い
総合評価 ★★☆2.5
試食日 2019/12/18
賞味期限 2019/12/03
入手方法 2019/06/07 New York (USA)
税込購入価格 1.29 USD (≒139 JPY)