No.6729 イトメン All-In-One Ramen (タヒチ向け)

No.6729 イトメン、All-In-One Ramen 。タヒチ向け専用製品であり、ピンポイントにターゲットを絞った製品である。同名のカップ版をNo.6680、輸出版袋麺の新伊府麺をNo.6670で紹介している。

▲中規模スーパーにて

タヒチはフランス領ポリネシアという100以上の島からなる海外準県の一つであり、即席麺に関して特異な環境を持つ島である。フランス領ということで大型スーパーのCarrefourがドーンとありフランス籍を含む製品が並んでいて、さらにアジア・オセアニア・米国の製品がゴチャ混ぜに売られている。そうした中でイトメンは唯一の日本製即席麺として十分に強い存在感を示しているのだ。

▲大型店Carrefourは値札も電子管理

タヒチで他に有力な即席麺ブランドといえばMaggi(フィジーまたはマレーシア製)、公仔・超力(香港)、KOKA(シンガポール)、日清(米国製)、辛ラーメン(米国製)あたり。あと日本の会社で中国製造のNikka Ramen(No.6614などで紹介)というのも頻繁に見かけられた。

▲ガソリンスタンドの待合室にて

でもイトメンが結構やるなあと思うのは、大きなスーパーだけでなく街の雑貨店やガソリンスタンド併設の売店などにも満遍なく浸透していることで、タヒチの人達に十分認知され、日常生活に溶け込んでいることが伺えるのだ。1970年代から輸出を続けている歴史の深さも影響しているのかな。

昭和の雰囲気を色濃く残す古めかしいデザインのパッケージながら、感覚的にはこの地でのメーカー別シェアでトップ3には入っていると思う(イトメンのWebサイトには「タヒチで一番売れています!」と書かれており、個別の製品ではそうなのかもしれないなあぐらいには感じる。MaggiとかKOKAは味の種類が多いからね)。価格は110~120CFP(日本円とほぼ同じ)で、競合他社と比べて決して安売りをしている訳ではない。超力やKOKAなんて安いのは60~70CFP程度だし。まあ輸送費が結構高いのだろう。

食べてみて、同社のチャンポンめんに近いけれど、今回の品の方が味がハッキリしており潤いも強く感じ、若干異なっているように感じた。イトメンのWebサイトを見ると、All-In-One Ramenはかやくの付いていないチャンポンめん、みたいな書き方をしてあったからこちらもそのつもりで試食をしたんだけどね。もしかしたら輸送・保管の条件が異なることが影響しているのかもしれない。

開封すると麺と粉末スープだけが出てきて、チャンポンめん特有の干しエビや椎茸のかやくは付いていない。スープの小袋は日本語表記で、二色印刷の旧いタイプだね。ちなみにチャンポンめんの粉末スープは2017年製造分より青いタイプに変更されている(中身は変化なし)。

ところで本製品の質量を確認するとNet(正味)で3.05 Oz / 86g、麺が2.80 Ozと表記されており、換算すると麺の質量は約79gになる。ここで日本のチャンポンめんの仕様を確認すると麺の質量が91gになっており、明らかに別物ではないか!

で、チャンポンめん以外のイトメンの袋麺(チャンポンめん海鮮風とんこつを含む)を見ると麺の質量が78gであり、All-In-One Ramenはこれを流用したものだと推測できる。ちなみに本製品で麺の原材料表記には塩が含まれておらず、イトメン得意の無塩製麺を踏襲していることが判る。

麺は細めの角断面。表面は滑らかだが柔らかめで、やや華奢な印象。どっしりとした存在感とか粘るコシというものはなく、このへんは同じ無縁製麺のチャンポンめん等も同様。その分気軽に食べやすいという即席麺にとって大切な性状を持つ。

ただ、気のせいか?いつものチャンポンめんとは何か違うように思えてしまうのだ。そしていつものチャンポンめんよりもしっとりとした潤いを感じて、こっちの方が良いかな、とも。製品間のバラつきにしてはちょっと差が大きいし、もしかして長距離輸送や保管条件で麺が熟成された、とか?

スープは淡い色の塩味で、基本はチャンポンめんとほぼ同じ味。うま味も塩分も強くて結構自己主張をする。ところが麺と同様、こちらの方が繊細で粉末臭さの少ない滑らかな味に感じられた。微妙な差だけど。

ちなみに麺をゆでるお湯の量の指示はチャンポンめんが500mlなのに対し、All-In-One Ramenは450~500mlと幅を持たせてあり、今回の試食では450mlで作ったため、その分若干味が濃くなっている筈である。

麺の質量と輸送保管条件以外の差は、かやくの有無しかない!チャンポンめんの大きな特徴である干しエビと干し椎茸がAll-In-One Ramenには付いておらず、残念ながらあの香ばしい匂いはここではしない。でも、だからこそ麺やスープに潤いを感じるようになったのではないか!?今までチャンポンめんに対して感じてきた乾いて薄い感じの個性は、主にあのかやくが作り出したものだったのか、と認識を新たにした。

▲タヒチといえば、Hinano Beer

今度試しにかやく抜きでチャンポンめんを作ってみよう。

今日イトメンのサイトを覗いたら、丁度「タヒチ風チャンポンめん」というチャンポンめん発売57周年を記念する数量限定製品の販売予告があった。今回の記事を書いた責任上、これは試食しなければならないなあ。

この販売予告記事で「いやいやタヒチとチャンポン合わんやろ」なんて書かれているけど、タヒチってマグロの刺身をわさび醤油で食べる習慣がある等、日本と一脈通じる嗜好があるんだよね。

国名 日本
ジャンル 袋ラーメン
EANコード 4 901104 850033
会社名 イトメン
製品名 All-in-One Ramen (タヒチ向け)
謳い文句 Japanese Style Alimentary Paste
調理方法 ゆで2〜3分
質量 Net86/麺79g
熱量 402kcal (1685kJ)
Na ~g(食塩相当量4.8g)
付属品 粉末スープ(ネギ入り)
ノンフライ麺 ×
湯切り 不要
細めの角断面、滑らかだが柔らかめで華奢な印象、チャンポンめんと同様の無縁製麺
汁・ソース 淡い色の塩味、うま味も塩分も強い、チャンポンとほぼ同じ味だが、若干潤いに勝る
具・その他 チャンポンめんに付く干しエビと椎茸は無く、これが全体の印象を大きく変えている
総合評価 ★★2
試食日 2020/06/22
賞味期限 2020/05/08
入手方法 2019/07/06 Papeete (Tahiti/French Polynesia)
税込購入価格 110 CFP (≒110 JPY)