▲おじさんの髭・膝のつぎ当て、屋台が復活
(丸窓は透明ではなく、麺の写真の印刷)
No.6872は明星食品、チャルメラ しょうゆラーメン 5食パック 数量限定 復刻版。「1966年販売当時の味を再現」とあるので、パッケージだけでなく中身にも手を入れた、現行品とは別仕立ての製品。
チャルメラ(袋の醤油)は私が1970年~80年頃に高い頻度で食べていたため、たぶん生涯で一番多く食べている品種である。だから細胞や血液、DNAにもあの味香りが染み込んでいる筈だ。
なのであの味香りが復活するなら大いに喜ばしいのだが、昔から「復刻版」即席麺※を食べる度に「全然違うよ!」という嘆きと深い悲しみを経てきたので、今回も期待度50%、半ば諦め50%ぐらいの気持ちで臨むこととする。
※長崎タンメンとか。
なにしろ私が10歳ぐらいの頃、独りでガスコンロを使い鍋で即席麺を作る契機となったのがこのチャルメラ(およびマルちゃんのリャンタンメン)であり、その後も休日の朝食、また大学時代は下宿や研究室で繰り返して作っちゃ食べてきた。(この頃はチャルメラとマルタイが比較的高級品、金が無い時は三個百円のいなげやi-markラーメンという位置付けだった。また同時期に中華三昧という革新的製品が登場して私の人格形成に大きな影響を与える)
そして昔のチャルメラに一貫している甘い記憶は、麺をゆでる際に漂ってくる香ばしい匂い。これを鼻から胸一杯に吸い込むと、そこはもうこの世の楽園パラダイス。もうこれ以上のものは何も要りませんという気分。丼に移して木の実のスパイスをふりかけると脳天に電流火花がスパークしてシャキッと覚醒させる。現行のチャルメラでは望み得ない感覚であり、ああアレをもう一度体験したいなあ・・・
食べてみて、・・・懐かしい味香りは記憶の中にのみ宿るもの。残念ながら、いや判っちゃいるんだけど、1970~80年頃に体験したものとはかなり違っていた。その最大の要因は麺の香りであり、この部分が今風の袋麺と大差ないものになっている。
これは明星食品が手を抜いているとか、昔のことを知っている人にきちんと聞けよ!などと批判するつもりは毛頭無い。諸般の事情により完全な再現は不可能なのだと認識する。近年出来た各種の規制やら流通の関係上、当時と同じ素材を使えない・調達出来ないのだろう。
昔の原材料なんて現在の基準で見れば体に悪そうなものをジャブジャブ使っていたんだろうし、油の香ばしい匂いは悪臭と紙一重だ(昔は各社とも食用でない油で麺を揚げていたなんて話も聞いたことがある)。そもそも製造ラインも昔と今じゃ全然違うしね。
きっと明星食品は(現実的なコストの範囲内で)出来ることは最大限やっているのだろうと思う。そして今回の企画を実現したことに対しては、心より最大限の敬意と感謝を表したい。
麺は細めでやや頼りない食感。揚げ麺の香ばしさはあまり漂って来ず、この点が昔(1970~80年頃)とは決定的に違う。その分スッキリしている印象。平成品質とでもいおうか。
スープは少し濁り感がある茶色でアッサリした醤油味。醤油は昔ほど強くは主張しない。強調感の無い、バランスが取れた味である。ホタテというか貝系のうま味は現在のチャルメラにも通じる個性と言え、知らずに食べても「あ、チャルメラだな」と判る程度の一貫性は確保されている。現行チャルメラしょうゆ味よりも、また昔のチャルメラよりも上品で穏やかな復刻版である。
スープが大人しいので相対的に木の実のスパイスが際立っている。スースーするような爽やかで黒胡椒系の刺激はいいアクセントになっていた。この辺の感覚は現行よりも昔のチャルメラに近い。
単に即席麺としての評価ならば決して悪くない。下手なこれ見よがしな演出が無く素朴な味であり、その反面ちょっと力感に欠けるけれども。でも昔のチャルメラの味を再現しているかと言われれば少なからぬ違和感を感じたのだ。
勿論私自身の味覚や嗜好が年齢と共に変化している可能性も否めないが、少なくとも麺の香ばしさに関しては、昔の記憶と今回の復刻版との間に大きな違いがあったと確信を持って言える。
結局、工業生産品でもある即席麺は、どうしても時代と共に味が変わってゆくもの、と諦めるしかないだろう。昔からあるブランドの即席麺で「発売当初から味を一切変えていません」なんてのがいくつかあり※、それはある意味正しいかもしれないけれど、別の意味でウソっぱちだと思ってる。
※サッポロ一番塩らーめん、ペヤングソースやきそばとか。
だから:今ある即席麺を精一杯きちんと食べて、自分の言葉と映像できちんと記録に残す。これが私のやるべきことだ。
国名 | 日本 |
ジャンル | 袋ラーメン |
EANコード | 4 902881 072519 (5p:072526) |
会社名 | 明星食品 |
製品名 | チャルメラ しょうゆラーメン 5食パック 数量限定 復刻版 |
謳い文句 | 1966年販売当時の味を再現 特製スープ・木の実のスパイス付き |
調理方法 | ゆで3分 |
質量 | Net92/麺85g |
熱量 | 420kcal (1758kJ) |
Na(麺具+汁) | ~g(食塩相当量1.9+3.8g) |
付属品 | 粉末スープ、スパイス |
ノンフライ麺 | × |
湯切り | 不要 |
麺 | 細めの角断面でやや頼りない食感、昔強烈にあった揚げ物の香ばしさは殆ど無く残念 |
汁・ソース | 少し濁り感があるアッサリ醤油味、貝の旨み、強調感が少なく上品、粗っぽさは無い |
具・その他 | スパイスはピリッと華やか、即席麺として悪く無いが、昔の味香りの再現は今ひとつ |
総合評価 | ★★☆2.5 |
試食日 | 2021/03/15 |
賞味期限 | 2021/04/30 |
入手方法 | 2020/09/24 クリエイトSD |
税込購入価格 | 300 JPY / 5p |